「クラックができると、クライミングの幅がグッと広がる」
しかし、クラックをどうやって始めれば良いのかわからない人も多いのではないでしょうか?
- そもそもクラックってどんなもの?
- クラックに興味あるけど、どうやって始めたらいいの?
- クラックができるジム、岩場について知りたい
クラックを始めて2年の僕が、そんな疑問にお答えします。
具体的には、
- クラックとは
- クラックの魅力、気をつけておきたい点
- クラックに必要な道具
- クラックができるジム、岩場
について、重要なポイントに絞って説明していきます。
僕自身、まだまだ修行中の身ですが、この記事を読むことで「クラックの始め方」については掴めると思います。
まずは一読してみてください。ではいきましょう。
クラックとは岩の割れ目のこと。ジャミング技術が必須!
クラックは岩の割れ目になっている部分のことです。
ホールドを掴んだり足を置いたりするのではなく、割れ目に「ジャミング」という手や足をねじ込む技術を使って登ります。
壁にホールドの付いたスポーツクライミングとは登り方が結構違うので、別物のクライミングと考えた方が良いですね。
ジャミングの種類にはいくつかあり、クラックのサイズ(幅)によって次のように呼ばれています。
- フィンガージャム
- シンハンド
- ハンドジャム
- フィスト
- ワイドクラック(リービテーション、チキンウィングなど)
下にいくほど広いサイズに対応したジャミングとなります。
フィンガージャムは、指先が入るぐらいの狭いサイズ。
一方、ワイドクラックは半身または全身がすっぽり収まるサイズのクラックのことを言います。
ちなみにクライミング黎明期はクラックが主流でしたが、現代ではちょっとマニアックなジャンルとして認識されているのではないでしょうか。
しかしその魅力に取りつかれ、クラックをメインに取り組んでいるクライマーも中にはいます。
クラックの魅力
ではクラックにはどんな魅力があるのでしょうか?次のような点が挙げられます。
- ありのままの岩を登ることができる
- クライミングの幅が広がる
- ナチュラルプロテクションが扱えるようになる
順番に見ていきましょう。
ありのままの岩を登ることができる
自然の岩場でのクラックルートは、基本的にボルトなどの支点が何も打ち込んでありません。
自分で安全確保のためのプロテクションを取る必要がありますが、その分ありまのままの岩を登れるという喜びを感じられます。
クライミングの幅が広がる
ヌンチャク(クイックドロー)にロープをクリップしながら登るスポーツルートだけでもクライミングは十分楽しめます。
しかしクラックを登れるようになると、クライミングの幅が広がり、楽しみが増えます。
アルパインクライミングにもクラックを登る技術が必要なルートがありますし、登山もやるというクライマーはぜひ身に付けておきたい技術ですね。
ナチュラルプロテクションが扱えるようになる
クラックをリードで登るには、カムやナッツといったナチュラルプロテクションのギアが必要になります。
扱いに慣れるには時間がかかりますが、ギアを使いこなせるクライマーって、単純にかっこいいと思いませんか?
状況に応じて必要なギアを選定し、確実にセットしていく。
そんな職人技のような姿に憧れてしまうクライマーも少なくないはず。
クラックで気をつけておきたいこと
一方、クラックを始めるにあたり気をつけておきたい点は、こんなところ。
- クラックに手や足をねじ込むと痛い
- ギアを揃えるのにお金がかかる
- 事故が起きる可能性が高い
こちらも順番に説明していきます。
クラックに手や足をねじ込むと痛い
先ほど説明したジャミングに慣れるまでは、割れ目との摩擦で手の甲やつま先がとても痛く感じると思います。僕も最初は痛みで悶絶していました。笑
慣れても痛いは痛いのですが、ジャミングが上手くなってくると、多少痛みは軽減されます。
なので、めげずに繰り返し練習に励みましょう。
ギアを揃えるのにお金がかかる
カムやナッツといったナチュラルプロテクションは高価です。
カムなんかサイズにもよりますが、1本で諭吉さん1枚消えていきますからね。
全サイズ購入するとなると、軽く10万円は超えます。
でも僕はどうせやるならと思い、一度に全部購入しました(店員さんにそそのかされたというのもありますが…笑)。
金銭面でも結構負担になると思うので、そのあたりも頭に入れておきましょう。
事故が起きる可能性が高い
クラックは自分でプロテクションを取っていく必要があるため、カムやナッツのセットをミスると、致命的な事故につながる恐れがあります。
リードをする際は、十分に技術を身に付けてからにしましょう。
最初のうちは経験者にトップロープを張ってもらい、擬似リード(=トップロープで安全確保しつつ、リード用のロープも繋げておく方法)で練習するのが得策です。
クラックを始めるのに必要な道具
ここからは、クラックに必要な道具を紹介していきます。
シチュエーションによって要るものと要らないものはありますが、一通り説明していきますね。
初心者で、まずあると良いもの
まずはこれだけあった方が良いものは、次の2点です。
- クラック用シューズ
- テーピングまたはジャミンググローブ
クラック用シューズ
普段使っているクライミングシューズでも良いのですが、できればクラック専用のシューズがあると尚良いです。
なるべくソールがフラットな形状の方がクラックに素直に足が入りやすく痛くありません。
逆にダウントゥしているシューズなんかだと、つま先がクラックに真っすぐ入らず痛いんですよね。
ちなみに僕が使っているシューズはこちら。
ラ・スポルティバ「TC-PRO」
クラックシューズの定番で、くるぶしまで覆われており、クラックに足を突っ込んでもくるぶし周りが保護されるという利点があります。
他にはスカルパの「マエストロミッド」なども人気です。
テーピングまたはジャミンググローブ
ジャミングをすると、手の甲の皮膚が傷つきます。そのため甲を保護するためのテーピングは用意しておきましょう。
テープの幅は5cmサイズがおすすめ。それ以下だと、幅が細くて甲を覆いにくいんですよね。
また、ジャミンググローブという専用のグローブもあります。こちらは着脱が簡単です。
ただし厚みがあり、クラックのサイズによっては手が入りにくいこともあるようです。
少々値は張りますが、毎回テーピングするのが面倒な人はジャミンググローブを購入してしまっても良いと思います。
リードをやるときに必要なもの
初心者の人はまずジャミング技術を身に付けるのが優先ですが、次からはリードでクラックを始める際に必要な道具も紹介しておきます。
次の4点です。
- カム
- ナッツ
- ナッツキー
- ギアラック
カム
カムがないとクラックは登れません。
持ち手のトリガーを引くとカムの歯が開閉する仕組みになっていて、クラックの幅に合わせてセットします。
カムは色んなメーカーから出ていますが、定番はブラックダイヤモンドのキャメロット。クラックをやる人は、ほぼほぼキャメロットを使っている印象があります。
他に代表的なカムとして、DMMの「ドラゴンカム」やワイルドカントリーの「フレンズ」といったものがあります。
少しずつサイズを買い足していっても良いですが、一式持っていないとクラックに対応できないこともあります。
極力全サイズ入手しておくことをオススメします。
ナッツ
先端に台形の金属が付いたナチュラルプロテクションです。
クラックの中でも、下の方がすぼまっている箇所に上から引っかけるようにして固定します。
カムより軽量のため、多めに持ち運べるというメリットもあります。
ナッツキー
ナッツを回収する際に使う道具です。
ナッツがクラックに食い込んで回収しにくいとき、ナッツキー(およびハンマー)でごついて、強制的に回収するというもの。
ギアラック
カムやナッツを肩掛けできるギアラックです。
ハーネスのギアラックだけでは不十分な場合、大量に掛けられるギアラックがあった方が余裕を持って登れます。
登る前にルートを良く観察し、持っていくギアの量やサイズを決めるのですが、場合によっては見当がつかないこともあります。
余分に持っておきたい場合は特に便利ですね。
次からは、実際にクラックの練習ができるジムを紹介していきますね。
クラックの練習ができるジム(東京近郊)
クラックの練習ができるクライミングジムというのは、そう多くはありません。
東京近郊のみのご紹介となりますが、ぜひ訪れてみてください。
ジャムセッション三鷹
僕がクラックを1から教わったジムです。
クラックのあるボルダリングジムとして、一風変わったポジションを取っています。
定期的にジムでのクラック講習や外岩講習も行なっているので、初心者の方はきっと身になることが沢山あると思います。
こじんまりとしたアットホームな雰囲気で、とてもオススメのジムです。
ビッグロック(日吉店)
ビッグロックでは、ロープを使ったクラックの練習ができます。
易しいハンドジャムサイズのクラックからオーバーハングした壁のクラック、身体がすっぽり収まる幅のワイドクラックまであり、クラックを練習するには打ってつけのジムですね。
BETA(曙橋)
都営新宿線・曙橋にあるBETA。ここの3Fにクラックができる壁があります。
ロープクライミングができ、高さはおおよそ7~8mほどとそこまで高くないものの、都心でクラックの練習ができる貴重なジムです。
なお、BETAの個別レビュー記事は「【ジムレビュー】BETAクライミングジム(新宿・曙橋)に行ってきた」からご覧ください。
Giri.Giri(西東京)
西東京市にあるリードジムGiri.Giri。
クラックルートは1本のみですが、オートビレイ機を使って一人でも練習できちゃいます。
ベースキャンプ(入間)
都心からは離れますが、埼玉の入間にある超有名ジム、ベースキャンプ。
ここにもクラックルートが設置されています。下部はハンドジャムサイズで易しめですが、上にいくに従って幅が細くなっていき、難しいです。
なお、東京近郊のクライミングジムについては「東京近郊のボルダリング・クライミングジムレビューまとめ【随時更新】」という記事でもレビューしています。よければご覧ください。
クラックでオススメの岩場(関東近郊)
ジムでクラックの基本技術を身に付けたら、今度は岩場(外岩)に行ってみたくなるのではと思います。
ジムと同様、クラックのできる外岩もそう多くはないのですが、関東近郊でオススメの岩場を紹介します。
小川山
長野県川上村にあるクライミングのメッカ、小川山。クラックルートは豊富にあります。
親指岩の「小川山レイバック(5.9)」「クレイジージャム(5.10c)」や、妹岩の「カサブランカ(5.10a)」などが有名なルートですね。
瑞牆山
小川山にほど近い山梨県北斗市にある、瑞牆山。こちらもクラックルートが豊富です。
不動沢の屏風岩などはワイドクラックの練習にも最適で、僕はそこにある「よろめきクラック」というワイドクラックの入門ルートに悶えました。
湯川
湯川も小川山から近い、クラックの宝庫。
僕はまだ行ったことがないのでレビューはできませんが、5.10台のクラックルートが練習できる岩場として人気だそうです。
湯河原幕岩
初心者向けのグレードも豊富な湯河原幕岩。
クラックルートは正面壁というエリアに集中しています。
城ケ崎
これまで紹介してきた岩場とは違い、海沿いにある城ケ崎。
「ファミリークラック」「あかねの浜」「オーシャン」エリアなどでクラックの練習ができます。
なお、岩の上に回ってトップロープを張ることができますが、危険も伴うため必ず経験者と一緒に行なうようにしてください。
各エリアのトポ(ルート図)については、「岩場へクライミングに行くならトポは必須!おすすめのトポも紹介」という記事でも触れています。よければこちらもご覧ください。
まとめ:クラックを体験してみよう
いかがでしたでしょうか?
クラックは必要な道具や技術も多く、とっつきづらいイメージがあるかもしれません。
でも、しっかり技術を身に付けて登れるようになっていくと、本当にクライミングの幅が広がります。
クライミングをもっと楽しみたい方は、ぜひクラックにチャンレンジしてみてください。
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