【映画レビュー】「MERU/メルー」山岳ドキュメンタリー映画の至宝

山岳映画レビュー
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どうも、アウトドアブロガーのヨシタツ(@yoshitasu696)です。

2015年に公開されていましたが、今までずっと観れていなかった山岳ドキュメンタリー映画「MERU/メルー」

正月休みにAmazonプライムビデオでようやく鑑賞しました(今更かい!)。

いやー、もっと早く観ればよかったと思いましたが、自分がアルパインクライミングをやり始めた今のタイミングだからこそ、響くものがあったのだと思います。

それではレビューをしていきますので、興味のある方は是非読み進めてみてください。

映画「MERU/メルー」作品情報

まず「MERU/メルー」の作品情報について簡単にまとめておきます。

「MERU/メルー」のキャスト

主なキャストは次の3人のクライマーです。

キャスト

ジミー・チン:クライマー、監督、プロデュース、撮影

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コンラッド・アンカー:クライマー

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レナン・オズターク:クライマー、撮影

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ちなみにジミー・チンは2019年に公開された「フリーソロ」というロッククライミングのドキュメンタリー映画の監督・撮影もしています。

>>>関連記事:【ネタバレ注意】クライミングへの情熱と葛藤を描くドキュメンタリー映画「フリーソロ」を観に行ってきた

「MERU/メルー」のストーリー

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ヒマラヤ山脈メルー中央峰にある切り立った岩壁「シャークスフィン」

未だ登られたことのない難ルートに、3人の一流クライマーたちが挑む姿を映し出したドキュメンタリー映画です。

2008年、クライマーとして世界的な成功をおさめていたコンラッド・アンカーが、山岳カメラマンとしても活動していたジミー・チンレナン・オズタークを誘い、シャークスフィンに挑むことになります。

その年は辛くも敗退したものの、2011年に再度同じメンバーでシャークスフィンへ挑戦。

2度目の挑戦の直前にはメンバーの事故が重なり挑戦が危ぶまれるも、3人の情熱と執念で見事登頂に成功します。

そんな彼らの挑戦をおさめた当時の映像と、3人を中心としたインタビューを交えてストーリーは進んでいきます。

映画「MERU/メルー」の感想

MERU/メルーを鑑賞した感想について書いていきます。

未踏ルートに挑む男たちの情熱

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山を登りに行く際、まずはその山へ登るための情報を集めますよね。登山地図を見たり、ネットで過去の山行記録を調べたり、既に登った人からアドバイスを貰うなどなど。

先人が与えてくれた情報をもとに、ある意味同じルートをなぞれば良いとも言えます。もちろん、それだけでも登山は十分楽しむことができます。

しかし、彼らが挑むシャークスフィンはまだ誰も登頂に成功したことが無いわけです。つまり、登頂を成功させるための確実な情報、手法が無いということ。

普通だったら、そんなリスクのあることやらないですよね。

けれど未知の世界に踏み込むという行為が一流クライマーである彼らの情熱を掻き立て、登らせるのです。

当然彼らにも恐怖の感情はあると思いますが、改めてこういう人種の人たちは普通と違うのかなと感じざるを得ませんでした。

ドキュメンタリー映画ならではのリアリティ

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フィクションの山岳映画は、これまでにも沢山出ています。しかし作り物であるせいか、どこか嘘臭さを感じてしまう作品があるのも事実。

その点「MERU/メルー」はノンフィクションのドキュメンタリー作品のため、全て本当に起こっていることが映し出されています(構成、演出などはより魅力的になるよう編集はされているでしょうが)。

そのため、嘘臭さというものがありません。

ごく一部の人間しか体験できない厳しい山の「リアル」を感じ取れます。

高所でのビッグウォールクライミングの過酷さ

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ビッグウォールクライミングというと、アメリカのヨセミテにあるエル・キャピタンなどが思い浮かびます。

「シャークスフィン」の登攀も、所謂ビッグウォールクライミングの部類に入るのかもしれませんが、その標高は約6,500m。立派な高所登山でもあります。

ヨセミテのエル・キャピタンの標高が約2,300mですから、その違いは歴然です(エル・キャピタンがしょぼいと言ってるわけじゃありませんよ)。

シャークスフィンはビッグウォールクライミングであると同時に、高所の過酷な環境で過ごさないとならないわけです。

90kgの荷物の荷揚げをしたり、マイナス29℃の極寒の中で登るというのですから、それはそれは厳しい挑戦だったことでしょう。。

壮絶な環境だというのはわかってはいましたが、映像で見ると尚更その過酷さを垣間見ることができます。

逆境に立ち向かう執念

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2011年に二度目のシャークスフィン挑戦をする半年前、ジミーとレナンはプロスノーボーダーの滑降を撮影する仕事へ出向きます。

しかしカメラマンを任されていたレナンがバランスを崩し、崖に転落して頭を強打。頭蓋骨と脊椎骨折という大怪我を負ってしまいます。

緊急手術により命は取り留めたものの、長期間歩けないほどの重症。

この時点で僕は「え、もう無理じゃね?」と思ってしまいました。

そして、さらに追い打ちをかける出来事が起きます。

ジミーはレナンの事故が起きてから4日後には撮影に戻ったのですが、滑走の最中に今度はジミーが大規模な雪崩に巻き込まれることに。

奇跡的に助かりましたが、ジミーは精神的なダメージを受けました。

レナンは歩くのも困難、ジミーは雪崩でのショック。シャークスフィンから登ることを拒まれているような状況です。

しかしレナンはその後、驚異的な回復力でトレーニングを積み、登頂への情熱を燃やします。ジミーも葛藤の末、再びシャークスフィンへのリベンジを決意。

そんな逆境を乗り越え、3人は見事シャークスフィンを人類史上初めて登頂に成功します。

レナンの大事故の時点で「こりゃ無理だろう」と感じる人は恐らく多いと思いますが、そこを乗り越えていく点が、この映画の見どころとなっています(レナンにとっては本当に災難だったと思いますが…)。

登頂シーンは、僕も思わず感極まってしまいましたね。

映画「MERU/メルー」まとめ

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というわけで、「MERU/メルー」はドキュメンタリー映画として素晴らしい作品でした。

登ることでさえ困難な上、撮影までやってのける彼らにも脱帽です。そんじょそこらのドキュメンタリーとは違いますよ。

登山をやっている人には大いに響く作品だと思いますので、まだ観てない方は是非チェックしてみてください。

Amazonプライムビデオ「MERU/メルー(字幕版)」

Blu-ray「MERU/メルー」

DVD「MERU/メルー」

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
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